熱の移動

化学

本章では熱の移動について解説します。熱というと漠然な印象ですが調べてみると奥が深い科学現象です。

そもそも熱とは?

まず「熱」とはなんでしょうか。日常的には「熱い」「冷たい」と表現しますが、科学的には物質間のエネルギーの流れのことを意味します。基本的に熱の単位はJ(ジュール)で表現され、1Jは物体を1Nの力で1m移動させる仕事に必要なエネルギーの量と定義されています。1Jとはイメージしずらいと思いますが、100gの物体を1m持ち上げる程度のエネルギーになります。

熱移動の3原則

熱の伝わり方(エネルギーの流れ)には、熱移動の3原則と言われる熱伝導対流熱放射の3種類があります。この3原則のポイントは熱が何で伝わるか?です。

熱伝導(伝導)

熱伝導(伝導)とは熱が物質よって伝わる現象のことです。熱湯にスプーンを漬けておくとスプーンが温まりますが、これも熱伝導によるものです。鉄材は熱が伝わりやすいですが、これも熱伝導のものによるものです。物質によって熱の伝わり加減が異なりますが、これを定量的に示したものが熱伝導率です。

熱伝導率

熱伝導率は物質が熱をどれだけ早く伝えることができるかを表す指標で、「W/m・K」の単位で示されます。日常生活から産業分野まで幅広い用途で使用されるため、その理解は重要となるでしょう。例えば、建築物の断熱性能や電子機器の放熱対策、熱交換器の効率など、多くの場面で熱伝導率が考慮されます。熱伝導率の単位は、物質が単位時間当たりにどれだけの熱量を伝えることができるかを示す値になります。ある物質の片側に1メートルの厚みを持たせ、もう一方の面の温度を1ケルビン(K)上昇させるために必要な熱量を示します。熱伝導率が高い物質ほど、熱を伝えることができ、逆に低い物質は熱の移動が鈍くなります。

対流

対流とは熱が温度差によって生じた流体(液体や気体)の移動によって伝わる現象のことです。液体や気体は、温度が上昇すると軽くなるため上昇していきます。そこへ、周囲の低温の部分が流れ込むことで循環が生じます。

お風呂のお湯

対流の例としてお風呂のお湯があります。気体・液体のような流体は温度変化によって体積も変化し、それに伴い密度も変化することになります。そのため、水の場合では暖かいと体積が大きくなり、そして密度が小さくなり、結果的に軽くなります。そのため、お風呂では暖かい水が上に、そして冷たい水が下に集まります。ここで湯船の底を加熱するとどうなるのでしょうか?下方が加熱されると下の冷たい水は少しずつ暖まっていくので、水の温度が上昇してその水の密度が小さくなるため軽くなって上へ行きます。暖められた水が上昇すると上に存在していた水が、暖められた水と入れ替わるように下の方へと移動していきます(水面付近の水温が外気との接触により熱がやや冷めていると仮定する)。これにより水(流体)が持っている熱が移動します。このように温度変化に伴って流体の密度が変化することで重さが変わり、流体そのものが移動して熱が伝わる方法のこと対流と言うのです。

熱放射(放射、熱ふく射)

熱放射とは熱が放射線(電磁波)によって運ばれる現象のことです。太陽の光やストーブ、焚き火などにあたると暖かく感じるのは熱放射によるものです。放射線によって熱が運ばれるため、真空中であっても熱は伝わります。熱伝導や対流と異なり、物質を介した熱の移動ではないことに注意しましょう。

赤外線による加熱

まずどんな物質も原子・分子と呼ばれる小さな粒が集まって構成されていて、熱と言うのはその物質を構成する分子の運動の激しさで決まります。その物質を構成する分子の運動が大きいと熱エネルギーが大きく(温度が高く)、反対にその物質の分子の運動が小さいと熱エネルギーが小さく(温度が低く)なります。これは液体の水を同様です。水も水分子の運動が大きいと温度が高くなります。では、熱放射による加熱とはどんな現象でしょうか?

一般的な例として水に赤外線を照射した場合が挙げられます。熱放射は電磁波(赤外線など)によって他の物質に熱を伝える方法ですが、このとき電磁波自体が熱というわけではなく、物質に吸収されるとそれが熱(分子の運動)に変化し、加熱に繋がります。またあらゆる物質には赤外線を放出する特性があり、基本的に温度が高い物質ほど強い赤外線を放ちます。そのため火に近づくと暖かいと感じるのは火から赤外線が放出され、自分たちの身体に当たっているからです。空気は熱伝導率が極めて低いため熱伝導では説明ができないのは、熱放射で成り立っているためなのです。

まとめ

「熱」の移動は日常のあらゆる場面で登場し、実生活に役立っています。3種類の熱移動がありますが、正しく覚えましょう。

タイトルとURLをコピーしました