洗浄剤は「水系洗浄剤」「準水系洗浄剤」「非水系洗浄剤」の3種類に分類されます。本記事では「水系洗浄剤」について解説します。
水系洗浄剤の概要
水系洗浄剤は水を溶媒としている洗浄剤であり、多量の水に少量の界面活性剤(洗浄剤の主成分)を添加した洗浄剤になります。また水系洗浄剤は酸性、中性、アルカリ性の3種類に分類されます。
酸性の水系洗浄剤
特殊な汚れの洗浄に適しており、金属を腐食させることもあります。錆や酸化被膜の除去に優れます。主成分は硫酸や塩酸の無機系とクエン酸などの有機系があり、pH=3程度になります。
中性の水系洗浄剤
油汚れに適しており、酸性の水系洗浄剤とは異なり金属を腐食させることはありません。加工油や切磋琢磨油、ワックスの除去に適しています。pH=7程度になります。
アルカリ性の水系洗浄剤
中性の水系洗浄剤と同じく油汚れに適していますが、金属を腐食させます。切削油や圧延油、加工油、研磨粉の除去に適しています。主成分は炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムで、pH=12程度となります。
水系洗浄剤の利点
基本的に非水系洗浄剤(溶剤系)とは対照的な存在で、それを活かした利点があります。
- 安全性が高い
- 引火の危険性がない
- 樹脂やゴムへの影響が少ない
水系洗浄剤の欠点
水系洗浄剤は非水溶性(溶剤系)と比較して安全性が高いですが、使用時に注意することがあります。
部品の腐食
酸性の水系洗浄剤の場合、部品が腐食する場合があります。酸性の水系洗浄剤の原理は酸により金属表面を剥がし、錆汚れを浮かせて洗浄しています。
錯イオンの形成
アルカリ性の水系洗浄剤で両性金属(アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛)を洗浄すると正しく洗浄できません。これは金属とアルカリが反応し、錯イオンを形成するからです。
水系洗浄剤の洗浄原理
水系洗浄剤の原理は界面活性剤の分子構造を利用して汚れを落とします。界面活性剤には水になじむ親水基と油になじむ親油基があり、この構造によって汚れを落とします。水系洗浄剤の洗浄の仕組みは次のとおりです。
- 汚れと界面活性剤が会う。
- 界面活性剤の親油基が汚れに吸着し、汚れを浮かす。
- 親水基を外側にして汚れを包み込むことで汚れを水に溶け込ませる。
まとめ
水系洗浄剤は3種類があり、それぞれに特性があることから適切な使用が求められます。是非、本記事を参考にして洗浄剤に詳しくなってください。